各種アミノ酸の働き

タンパク質をつくり医療にも貢献している基礎栄養

内藤 博 著 1999.04.24 発行 ISBN 4-89295-396-2 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

必須アミノ酸が大切な理由

各種アミノ酸の働き

体内でつくられないアミノ酸
タンパク質を構成しているアミノ酸は 種類位ですが、食べ物のタンパク質が消化されてできるアミノ酸のうち、最低8〜9種類(リジン、メチオニン、ロイシン、トリプトファン、イソロイシン、バリン、フェニルアラン、スレオニン、ヒスチジン)の特定のアミノ酸があれば、体のタンパク質の材料としてだいたいは間に合います。
なぜなら、そのほかのアミノ酸は、体の中で前記9種類のアミノ酸から作られるからです。逆にいうと、これら9種のアミノ酸は体で作られないので、食べ物から補給されなければなりません。このため「必須アミノ酸」と呼ばれています。
これらの必須アミノ酸は毎日一定の量を食べることが必要ですが、もちろん幼児や学童のような成長期では大人よりも多く摂る必要があります。

最も低い必須アミノ酸の比率
もう一つの重要な特徴は、毎日の必要量はアミノ酸によって異なり、もっとも有効に利用されるためには、9種を一定の比率(パターン)で食べ物から摂らなければならないことです。そのパターンから外れてくるほど、体の中でタンパク質を作る材料になりにくく、無駄に尿中に排泄されてしまうことになります。

比率を点数化したスコアを100とすると、例えば卵、肉あるいは牛乳などは最もよいパターン(100)ですが、植物性のタンパク質では必須アミノ酸のメチオニンが少なく 〜 程度の低いスコアを示します。
このスコアの決め方は、体に理想的なパターンの各必須アミノ酸量をそれぞれ基準(100)として、食品のタンパク質の各必須アミノ酸量がどれくらいの比率(%)であるか比べていき、9種の中でもっとも比率が低いアミノ酸の数値をその食品のスコアとしています。

例えば、大豆の必須アミノ酸量を理想的なパターンと比べてみると、メチオニンというアミノ酸がもっとも低く、その比率は大体 位となり、その数値を大豆のスコアとします。高いスコアの食品ほど比較的少量食べるだけでも充分ですが、低いスコアほど利用性が落ちるため量を多く食べる必要があります。

100が理想的
現在、日本人のコメの消費が少ないことが問題にされています。昭和 年代までは、国民1日1人当たり平均4杯のご飯を食べていたのに対して、現在では2杯。これだけ低下したのは、おかずが豊富になったため、コメのタンパク質の低いスコア(65)が充分にカバーされたことが原因なのです。

例えば、豆腐のスコアは80ぐらいで、100に届きませんが、大人では少し多く摂ることで充分健康が維持されるようですので、この位の違いはあまり気にする必要はありません。大人の体内では、体の中でターンオーバーで分解されたタンパク質からできたアミノ酸類が、かなり再利用されていることにもよります。

大人では良質のタンパク質を1日60〜70gを摂れば充分。しかし成長中の子供には、植物性だけでなく動物性のタンパク質を充分に食べさせることが必要です。スコア80の大豆食品には、乳製品や肉類などでメチオンを補うことによってスコア100に近づけることができます。

不足のアミノ酸を添加する
アミノ酸スコアの高いタンパク質に比べて、低いタンパク質となる原因は、9種の必須アミノ酸のうちのどれかの含量が少ないことによるものです。ですから食物中にそれに相当するアミノ酸を添加すると、スコアが高くなり、からだの利用性も改善されことになります。

トウモロコシを主食としている国の中には、学童の食事に必須アミノ酸のリジンを補足しているところもありますが、トウモロコシのタンパク質にリジンが少ないので、リジンを添加することでスコアが高くなり、他のアミノ酸の利用率もよくなることを狙ったものです。

食事の組み合せでスコアは上がる
ここで大切なことは、なにか1種類だけの必須アミノ酸を多く摂っても無意味であることと、たとえ補足する場合でも食事で一緒に摂らなければ利用できないことです。なぜならば、体のタンパク質合成には、理想的なスコアに従った比率で、しかも同時に材料を提供する必要があるからです。

動物性のタンパク質でも、全てが良質であるとは限りません。例えば、骨のタンパク質コラーゲンを加工したゼラチンはゼリー菓子の原料として使われていますが、必須アミノ酸の一つのトリプトファンを全く含まないため、スコアはゼロ。すなわちコラーゲン単独では利用価値がないということになります。魚の「煮こごり」は料理素材としての価値があっても、栄養的価値は低いのです。

昔から、パンと牛乳、コメと魚といった組み合せで食事をする習慣は、異なったタンパク質を組み合せてスコアを高めるという知恵に基づいているのです。
かけうどん1杯のスコアは41ですが、卵をかけるだけで68に上昇します。



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