各種アミノ酸の働き

タンパク質をつくり医療にも貢献している基礎栄養

内藤 博 著 1999.04.24 発行 ISBN 4-89295-396-2 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

食品由来のペプチド類が効果

各種アミノ酸の働き

血圧を下げる
血圧を上昇させる原因はいろいろありますが、昇圧ホルモンによる血管収縮作用が大きいものです。このホルモンを作る酵素作用を、数種の食品からできるペプチド類が阻止する効果を示します。
魚肉中にはこの作用物質が多く含まれ、かつお節をタンパク質分解酵素で消化してできるペプチドは高血圧患者に有効なことが示されています。

鎮痛効果
モルヒネは、もともと鎮痛作用物質として医療に用いられていますが、習慣性による覚醒作用が強いことが欠点です。牛乳や麦類のタンパク質の消化でできる種々のペプチド類の中には、このようなオピオイド作用を示すものが見い出され、習慣性のない鎮痛剤として実用できることが期待されます。

免疫作用
サイトカインという種類の微量物質は免疫作用、すなわち病原菌のような外来の物質に対する抵抗作用を高める効果があります。この作用は主要な食品タンパク質のほか、果物、野菜など多くの食品から見い出されています。
一方、免疫作用というのは両刃の剣で、過剰になるとアトピーやアレルギーといった有害な作用を示すので、単に効果のあるといわれる食品を食べてもかえってよくない結果の場合もあります。
食品アレルギーが近年どんどん増えてきている原因については、いろいろの説があってよくわかりませんが、タンパク質の一部がアレルギーの発生源となって過剰な免疫反応を引き起こすことは確かです。したがって、その部分を取り除いてしまえばよいので、実験的にはそれほど困難ではありません。しかし、これらは全て主食としてのタンパク質の処理加工に関わることなので、コストが高くなるのが問題です。

カルシウムの吸収性を高める
食品中の栄養素は、通常、消化によって 〜 %位は吸収されますが、カルシウム、リンなどのミネラルの吸収性はずっと低いことが知られています。これは水に溶けにくい塩類をつくることが原因です。
ところで、牛乳のカルシウムの吸収効果が抜群に高い理由は、牛乳タンパク質のカゼインが消化される際に、CPPというペプチド部分が腸管内に残り、不溶性のリン酸カルシウムが作られるのを妨害しているためとわかっています。牛乳から取り出したCPPを他の食品に添加することによって、そのカルシウム吸収効果を高めることができます。

コレステロールを排出
血液中のコレステロールが高いことは成人病(生活習慣病)の原因となります。昔から、大豆食品は動物性食品に比べてコレステロールを低くする効果のあることが知られていますが、これは大豆の消化でできるペプチド類がコレステロールと結合して糞便中に排泄してしまうからとされています。
納豆のねばねば物質の本体は、じつはグルタミン酸が多数結合しているポリグルタミン酸です。このような物質は、食べたカルシウムの骨への供給を高めることが予想されています。

食べ物からと化学処理からの区別も
ただし、ペプチド類は分子が大きくなるほど腸の粘膜を通過して体内に入りにくくなります。CPPや大豆のコレステロール低下物質など腸管内で作用するペプチド以外は、体内で吸収されることの証明が必要です。
食べ物としてのタンパク質から実際に体内で効果を現す場合と、食品から化学的な処理によって取り出したものが初めて有効な場合との区別が明らかでない結果も多く、一層の研究が必要です。



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