
食品のうまみ成分の1つ
アンセリンは、2種類のアミノ酸がくっついた形をしています。「アラニン(β―アラニン)」と「ヒスチジン(メチル―L―ヒスチジン)」というアミノ酸です。
アミノ酸というのは、たんぱく質を構成している成分で、アンセリンのように2つのアミノ酸がくっついた構造をしているものを、栄養学では「ジペプチド」と呼びます。
ヒスチジンが主成分となっているジペプチドは、とくに「イミダゾール化合物ジペプチドアミノ酸」といい、アンセリンのほかに2種類知られています。
そのうち、主に海洋生物に多く含まれているのがアンセリンです。
カツオやマグロのパワーの源
海洋生物の中でも、カツオとマグロのアンセリンの含有量は群を抜いています。
カツオとマグロ以外では、サケやサメにも比較的多く含まれています。それらの魚に共通するのは、やはり「持久力の高さ」と「瞬発力(スピード)」を持ち合わせている点です。
逆に、海岸近くや河川に生息する運動量の少ない白身魚には、アンセリンはほとんど含まれていません。
アンセリンの研究の経緯
アンセリンが最初に発見されたのは一世紀近く前に遡ります。
もともと食品の旨み成分の1つとして注目され、カツオだしの重要な要素であることが知られていました。
そのアンセリンが、私たちの体の中でどのような働きをするのかということが注目されるようになったのは比較的最近のことです。1970年代頃から議論されるようになり、90年代に入って本格的な研究がスタートしました。
そして、カツオやマグロの元気の源であるアンセリンは、私たち人間にも大きな恩恵をもたらしてくれることが明らかになったのです。